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2003年6月3日 和歌山県湯浅 晴れ |
聖地、ふたたび
オフシーズンである冬にも団子を投げ続けてきたが、さすがにこの時期、チヌに出会える確率は低い。
1月の和歌山堅田遠征を除けば、関東でチヌの顔を見ていない。これが続くと、自分の釣りがゆらいでくる。
釣りは自問自答の繰り返し。自らに問いかけ、自らに答える。その答えに自信が持てなくなってくる。
例えば、「チヌが寄った」と極めて感覚的にとらえたとする。調子の良い時には不思議とそれが当るのであるが、
不調が続くとその感覚さえも疑わしくなってくる。「どうせまた雑魚さ」と思った瞬間に集中力は霧散し、
一日中のんべんだらりとした釣りを続ける事になる。つたない修行で身に着けた、爪の先ほどの感覚でも、
信じられると信じられないのとでは大きく違う。
原点に帰ろう。根拠は希薄ではあるが、駆り立てるものがあった。
また、湯浅の磯に立ってみたい。紀州釣りのメッカで、何かを掴みたい。
湯浅「なぎ丸」さんは3回目だが、一人で来るのは初めて。渡船を待つ間、まるで子供のように緊張した。
船が出てすぐ、マイクで呼ばれた。「まけさん、最初に行っとこうか」。
船が着いた所は、トビ岩。
「正面向いて、竿2本先、ウキ下竿2本」
離れていく「なぎ丸」から、短いながら、適切な指示。
ありがとう。帽子を取って、一礼。

好条件で釣り開始
団子は「紀州マッハ(青袋)」2対「紀州マッハ攻め深場(緑袋)」1のブレンド。
永易さんから、「団子を持たせすぎても反応が悪い」と、このブレンドを教わってきた。
アミエビは軽く一握り。エサトリが集まりすぎるのを恐れて、遠慮がちに入れた。
純正永易ウキのM(4.5B負荷)をチョイス。この水深、潮に対して若干浮力が強めだが、
最初は様子を見るため、底を少し切っているので、かえってメリハリが出て判りやすいというのが
判断の理由。
団子の割れが安定してからも、エサトリはそれ程きつく感じられず、
6〜8割程度の締め方の団子で着底後1分程で割れる状態。
ただし、サシエサのオキアミは団子が割れた瞬間に無くなるので、
コーンをローテーションの中心にする。もちろんコーンもほとんど盗られる。
詰めぎみの設定のまま、遠投したり左右に投げたりして、様子を探る。
遠投しすぎるとかえって浅いこと、向かって右側にシモリか何かがある模様。
手前は根で浅くなっている。
そう。最近はこの丁寧さに欠けていた。きちんと底の状況を把握することすら
できていなかった。早速反省。
そこそこペースが安定してきたので、ハワセの設定で投入を繰り返す。
ウキが若干ポコポコしているようなので、純正永易ウキのS(3.5B負荷)に変更する。
それだけ潮が飛ばず、釣りやすい状況ということか。潮はゆっくり左から右。
しかし、釣り始めから2時間、潮の早さに対応して、ウキ下をいじりながら集中して釣りをするも、
変化なし。ちょっと手を休めて、一服する。

時合到来
タバコをゆっくり吸って考えても、これといった手は思いつかず、釣りを再開。
30分程すると、時折「おっ」と思うウキの動きが出始める。
来てるかな。団子を握る手に力が入る。
ボケを使う頻度を高める。
「ぬかすなネットTV」用にビデオの録画スイッチを入れる。
ゆっくり入るウキにアワセて、空振り。
数投後、またゆっくり入るウキにアワセた。感触はあったが、なんと手前の根に入った模様。根ズレ。
糸ふけがやや多く出ていて、アワセた後の勝負が遅くなっていた。
さらに集中。
餌を底で動かさず、しかも糸ふけを最小限にするよう、細心の注意を払う。
しばらく音沙汰なし。
うーん。ビデオのスイッチを切る。(回しっぱなしだとテープが無くなるので・・)
数投後、コーンへの臭いアタリに聞きアワセしてみると、手ごたえ。
アワセを入れなおすと、確かに魚。
手を上へ伸ばし、竿を立て、ガ−っと巻いて浮かす。今度はこちらの勝ち。
自信をもって強引するのは、竿への信頼。
浮いて来たのは久々の銀鱗。タモに収まってほっと一息。
「あ、ビデオ撮ってない」まあいいか。
そそくさとスカリに入れ、急ぎ次の一投へ。
湯浅は釣れる時に釣る。時合にきっちり数を釣らないと、いけない。
ところが、心の緩みが出た。
沖を走る漁船に目が行った。いい天気、いい景色。
ふとウキに目をやると水中を進行中。
慌ててアワセるも、時すでに遅し。
根ズレの感触がして、グンと首を振ったような手ごたえ。
見事にハリスを切られた。
その次は、ゆっくり入るアタリを捉えたが、巻き始めたら、道糸が穂先に絡んでいた。
危うく穂先を折るところだった。慌てて竿を戻すと、ハリが外れて帰ってきた。
昨夜、誰かの穂先がらみの話を笑った罰であろう。
小一時間ほどだろうか。次第に雰囲気が消えていった。
自分でもあと2枚は行けたはず。名人ならこの間に5〜6枚は行っているはずだ。「下手」。
当たり前だが、下手である。雰囲気を察知してから釣るまでが遅い。一匹釣った次からの釣りがめちゃくちゃ。
釣り慣れていない。釣るべき時にミスがでる。
アタリは綺麗では無かったがともかくボウズは逃れてホッと一息、ではある。
次は綺麗なアタリで釣りたい。欲も出てくる。

待ちに待った夕まずめ
しばらくは退屈な時が過ぎていく。
睡眠1時間半の脳天に容赦なく日差しが降り注ぐ。
途中から潮が逆、右から左に流れ、風も右から、時折強く吹く。
餌を動かさない為に、ハワセ幅を大きくとってみたり、寝ウキに変えてみたりと
数少ない技を使ってみるが、なんとも退屈な時が過ぎていく。
時折釣れるグレが遊び相手。ウキとウキ止めが当っても放っておくと、餌が動く。
それに手のひら大の肥えた奴が食いついてくる。
こんなのが沢山いるのだから、どこかにでかい奴も居るに違いない。
今日、横浜まで走るので、16時に迎えの船に乗るつもりだったが、
とうにその気持ちは消えた。もう一枚。なんとかしたい。



変化が起きたのは、その16時前。
ボケもコーンも盗られなくなった。ハワセはばっちりのはずだ。
何投も、サシエサが無傷で戻ってくる。何が気に入らないのだろう。
団子アタリは出るのだが。
朝一番の数投しか使わなかったオキアミを刺してみる。
やはり団子アタリ。ボラだとしてもそうそう割れる団子ではない。そのまま着底。
団子が割れたと思われるタイミングで、フッと僅かなアタリ。
しかし、それ以降ウキはそのまま。潮に流され、ウキとウキ止めが当る。
「さすがにもうあかん。餌動いた。」そう思った瞬間、ウキが沈んでいった。アワセ。
「これはボラやろう」
確信して、とりあえず浮かせにかかる。
午前中に1本釣ったボラも、横走りしなかった。グングン潜るがボラに違いない。
と、途中でふっと抵抗しなくなった。「あれ、これは?」
浮いて来たのはチヌ。
一尾釣ったら、団子をさらに固くし、ハワセ幅を大きくして、次の一尾を狙う。
何の疑いもなく、「セオリー通り」に手返しを続ける。
ところが、これ以降チヌからの魚信はなく、雰囲気も消えていき、17時30分、ジエンド。
結果は37センチ、36センチの2尾。18時の船に乗って港に帰る。
結局、釣れたシーンはVTRには収まらず。そんなものか。

底切り、か
船頭さん曰く、「夕方は難しかったみたいやね。」
ある常連さんは、昼までボーズ。夕方まとめて6枚釣ったという。
ボケで底を切って連釣だったようだ。
私と全く逆。言われてみれば、餌が動いて釣れたのだから、
その後、底を切るという選択もあったはずだ。
そこに思考が行かない所に、釣りのまずさがあると思った。
相手は魚である。その時々に魚の都合があるはずだ。
いつでもハワセて釣れる訳ではない。時には餌を動かす必要もあるだろう。
何のために、何種類もの永易ウキを持っているのか。
底を切って使えるのも永易ウキの特徴だ。
ハワセりゃ釣れるだろう、というような意識がどこかにこびりついて、
釣りが荒くなっていたような気がする。
人間様の都合通りにいかないのが釣りである。
帰宅してから、腹の中を調べた。
朝の1尾は、オシムギがかなり入っていた。
そして夕方の1尾のお腹には、天然のエビと思われる殻やヒゲがパンパンに入っていた。
これだけ食っていれば、無理にサシエサなど口にしなくても良かっただろうに。
動いた餌についつい反応したのだろうか。
もしかするとこの違いが魚の反応の違いの原因だったのだろうか。

たった2尾であったが、私にとっては貴重な2尾であり、
自分の釣りのまずさを浮き彫りにしてくれた湯浅であった。
最後に
今回の遠征でもいろいろな方にお世話になりました。
前日遅くまでお付き合いいただいた永易さん、ナンさん、てつさん、なおピーさん。
貴重なお話ありがとうございました。
そして前々日、渡船が中止だった日に、突然押しかけてしまったsomeさん、みーぽん、みっちゃん。
(なんかねえ、あの日めちゃ寂しかったんですよ。)
突然にもかかわらず一宿一飯、酒たくさんの恩義、ありがとうございました。
あ、気を遣わずに、金使え、でしたね。
みーぽんの目ヂカラが入る前にそうしたいと思っております。
そして、なぎ丸さん。ありがとうございました。
さらに帰路、予定より大分遅れた横浜到着で、皆さんに御心配をおかけしたことを
深くお詫び申し上げます。
でも、また行きたいんですけど(笑)