デュアルブレード

 

---200年前。

 

「まいりました。」

『………エリーヌよ。
 お前に問いたい事がある』

「何でございましょうか?」

『我々神と人間。どちら
 が地上の長となるべきなのだろうか。』

「我々が地上に君臨する
 のが当然でございましょう!」

『……………。』

「……なぜ、そのような事を?」

『審判の時が来たのだ。
 デュアルブレードと共に……。』

「デュアルブレード!まさか、
 共鳴を始めたのですか!?」

『……行ってくれるな。』

「……わかりました。」

 

この時から、全ての物語は始まった。

この後、エリーヌはマキシムと出会い、

彼の旅に出る運命を伝えた。

 

デュアルブレード

持ち主の波動に共鳴し、増幅させる剣。

その波動が正負問わず増幅させる。

 

デュアルブレードは意志を持った神・・・。

審判神だった。

より強い波動を持つものに力を貸し、

地上を統治する力を与えるために存在する。

だから、ある時は神に力を貸し、ある時は人間に力を貸した。

 

意志があるために、持ち主を自ら選び、

神であるために、同じ神を傷付ける事が出来たのである。

 

今、この地上で一番波動が強い者……。

一番最初にデュアルブレードに共鳴した者……。

それはアレクディアスだった。

 

第1次虚空島戦役

魔石を壊す際にマキシムに力を貸し、

パーセライトへの落下を防ぎ

マキシムの血を絶やさないようにした。

 

理由は二つ。

一つは、マキシムが”島の落下を防ぐ”

という強い意志(波動)を生んだからである。

これはデュアルブレードが持ち主の波動を増幅し、

手助けしたからである。

 

もう一つは、今後転生するエリーヌ(ルフィア)が

再び愛する人(の精神波動)を求めるためである。

これは、アレクディアスの意志だった。

 

 

第2次虚空島戦没

少年の意志に反して、少年の愛する人を死に至らしめた。

 

これは、少年が”四狂神を倒す”という強い意志から。

エリーヌの神としての力だけを消し去った。

 

…そして、デュアルブレード自身は

ルフィアには愛する人に殺される辛さを教え、

少年には愛する人が死ぬ辛さを教えた。

これも、根底にあるアレクディアスの波動によるものだった。

 

 

―――そして、今回の共鳴。

これは、

”愛する人をこれ以上苦しめたくない。”

”敵、と割り切って欲しかった。”

”・・・私が死ねば全て終わる。”

といった、セシル、ナキの思いが強かったからであった。

その波動がデュアルブレードが共鳴し、

あたかも、シオンがエリーヌを剣で殺した結果となった。

 

デュアルブレードは自分の波動をレグナスソードに込め

エリーヌの分裂した波動がやどる人間”ナキ”を探した。

ナキとセシルをめぐり合わせ、エリーヌを転生させた。

 

そして、マキシムの子孫、シオンとめぐり合い、

三度その剣は一人の神を切り裂く。

 

神から自立をするために

自らの未来を切り開く力が人間にあるかどうか…。

それをデュアルブレードは見届けていた。

 

すべては、もっとも波動が強いものに共鳴するため……。

アレクディアスの波動に共鳴していた出来事であった。

第三者から見る目として、デュアルブレードを使っていただけにすぎなかった。

 

アレクディアスが”人間が、神から自立できるかどうか?”

を知るだけのために多くの犠牲を出した。

 

唯一、愛の神になる可能性がある神、エリーヌ。

アレクディアスはデュアルブレードを使い、彼女を試していた。

 

色々な形で、マキシムの血を引き継ぐものを愛し、

そして、強制的に別れを選ばされてきた。

その度に、愛の波動がいっそう強くなっていた。

 

失う事でしか、傷つけることでしか愛せないまま 

やがて別れさせた。

 

神も、人間もまだ未熟な世界だった。

その世界に終止符を打つため、

アレクディアスはデュアルブレードを使い

完璧な世界にしようとした。

 

デュアルブレードは気付かせるためのキッカケを与えるだけの存在。

それ以上はなにもしない。

あとはその人がどうにかするしかない。

 

この、何百年にもわたる悲劇的な物語---

全ての責任はアレクディアスにあった。

 

全ては愛の神を作り上げるため。

たった一人の神を作り上げるために

多くの犠牲を出したのだ。

 

そして、今

アレクディアスの思惑通り、愛の神が生まれた。

人類の希望として、生まれた。

 

それが、デュアルブレードの審判だった。

結果は、アレクディアスの思惑通り愛の神が生まれ、

これから人間たちがどう生きるのか……。

それをアレクディアスは見届けたかったのだ。

 

そう……。

すべてはアレクディアスの、娯楽と言っても

過言では無い。

 

なにも知らない…虚空島戦没に関わらない人々は

喜ぶのかもしれない。

恐怖、殺戮、混乱、破壊を司る神が消え、

愛を司る神が降臨した。

これからは愛の御加護があるのかもしれない。

 

しかし、シオン達は許すはずが無かった。

もともと、自分にある感情を、なぜ神に頼るのか…。

確かに、神の御加護はあった方がいいのかもしれない……。

が、これまでの過程は、とても許せるものではなかった。

愛の神を生み出すために、セレナや、ルフィアや、セシル、ナキ

など、他にも多くの犠牲を出したのだ。

 

この後、シオン達がどのような行動をとるか?

絶望から立ち直り、愛の神と共に生きるのか…?

それとも……。

 

はたして、人類の代弁者…シオンはどうするのだろうか?

 

 

---この後の人間(シオン)の行動も

アレクディアスにとっては娯楽の一つに過ぎなかった……。

 

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