アレクディアス(TrueEnding)

 

「エリーヌ……。エリーヌなんだろ?」 

「はい。アレクディアス様。」

「様なんて…。やめてよ…。」

「私はあなたの下にいる神…。
 それは命令でも出来ません。」

「そんな…。」

「申し訳ございません…。
 
私は、あなたの波動によって
 再び神として生を持って
生まれ変われたのです。」

「…………。」

「命令を…。」

「…………。」

「…………。」 

「人間を…。」

「…………。」

「人間を神からの呪縛から解く手伝いをしてくれ…。」

「はい。アレクディアス様。」

 

あたりまえの愛 あたりまえの幸せを

ずっと捜し続けても つかめないもんだね・・・。

 

この時から、アレクディアスも

エリーヌの主として生きていくことを決意する。

彼女の上に立つ神として演じる努力をした。

 

”少なからず、彼女と一緒にいられる…。”

 

その思いが間違った生き方を決意させる。

演じる事で、辛い現実から逃げていた。

 

でも……薄々だけど気付いていた。

自分の言うことをなんでも聞く人が側にいても

それは一人でいるのと変わりがないことを。

 

―――そして、自分を止めてくれる人を待っていた。

 

人間なんて卑怯で…。

自分だけがいいと思っている奴等ばかりで…。

つまらねぇ…。

死ねよ…それしかできねぇんだから。

 

少年は、誤った選択と存在を選んでしまった。

 

『だから…。

 俺を含めた全てを消そうとした…。

 けど…。

 それが正しいかどうかが分からなかった…。

 それを確かめるために…。

 デュアルブレードの審判を利用した…。』

 

そして、今、その審判がアレクディアスに下された。

自分以外のデュアルブレードが共鳴する者に否定された。

 

『これで…終わりだ…。』

アレクディアスが、シオンとデュアルブレードによって
切られる時、エリーヌの波動を持つセシルの中へと
自分の意識ごと波動を注ぎ込んだ。

最後にシオンに試練を与え
さらなる波動の増加を望んだ。

そして、愛する女性の側で消えようとしていた。

本当に死にたいわけじゃない。
本気で死ぬつもりでもない。

全てが、終わり、アレクディアスが消えようとした時だった。

…その時、俺の側に暖かいモノが自分を包み込んだ。

 

「アレクディアス……。」

『あなた…は…?』

「ルフィア…。」

『ルフィア………?』

俺はその名前に心当たりはなかった。

 

「私には、貴方と過ごした頃の
 エリーヌとしての記憶があります。」

「貴方の波動の一部が形となって
 地上に降り立った波動を受け継いだ男性と
 時間を共にした女性です……。」

『そう…か…。』

「なぜ……死のうとするの?」

『なぜ…?』

「そう……。」

『”苦しい思いをしてまで生きる必要があるのか”
 と思ってしまう自分もいる。』

『かといって、別に死にたいわけではないし、
 死のうと思っているわけでもない。』

『自分は死んでもいいと思うけど、
 自分の周りの人が死ぬのはなかなか受け入れられない。
 というか、イヤだ。そんなことあってほしくない。』

『だから……。
 だから、俺は……!』

「エリーヌと、あなた……。
 どちらかだけが幸せになる
 のは以外と簡単なものよ。」

「なぜ二人とも幸せになることを望まないの?」

『―――!』

「エリーヌさんも貴方も辛い思いをして…」

「けど、貴方が良ければそれで良かった…。」

「そう、思って諦めた。」

「エリーヌさんかわいそう…。」

『俺は……俺は……。』

「悩んで、悩んでどうしようもなくても、
 信じてくれている人を裏切る真似はやめなさい!」

『お、お前に何がわかるんだ……!』

「…私には分かるわよ。」

「私は、貴方の嫌いな、その人間を好きになったのよ。」

「そうだよね…
 アレクディアス…。」

波動の性質が変わった。

その波動はとても懐かしい感じがした。

『エ、エリーヌ……!?』

「貴方は……
 自分に絶望した。」

「ずっと……自分を苦しめてきた……。」

「今度は、私が貴方を救おうとして
 今まで存在していたわ……。」

『エリーヌ……。』

「よかった……私が消える前に
 あなたと出会えて……。」

『えっ……?』

「あなたに、人間としての波動を消された時、
 神の波動が私を支配したわ……。」

「その時、記憶も消えかかったわ。」

『…………。』

「でもね…。
 いつかまた、あなたと出会える事を信じて
 あなたと過ごした、あの頃の思い出を
 今まで受け継ぐ事が出来たの…。」

『そんな……
 完全に人としての波動は消えたはずだ…。
 記憶を保てるはずない…!』

「それは…
 あの人のおかげよ。」

『あの人?』

「マキシムや、ルフィアと過ごした少年…。」

「そして、シオン…。」

「あの人たちが人の心を忘れた神としての私に
 ”愛”を教えてくれた……。」

『…………』

「その感情が、神としての力を
 凌駕していった……。」

「でも、神の力を凌駕するには
 それだけでは足りなかった。
 それで……。」

『自分の命を……か?』

「えぇ…。
 それでも、意識の下でのみ保っていて
 しかも、時々しか覚醒できない程度だったけどね…。」

『やっぱり、お前は凄いよ……。
 デュアルブレードの力も使わずに
 神の力を超えたのだから。』

「けど……限界がきたみたいね。」

『エリーヌ……?』

「もう、波動を保つ力が……。」

『エリーヌ!』

「ちょっと…
 無理しすぎちゃったのかな…?あはは…。」

『エリーヌ…。』

「あなたは…あなたに”今”
 出来る事だけをすれば良いのよ……。」

『今……。』

「大丈夫……。
 また…、会えるよ。」

『………。』

「少し、休むだけだよ……。」

『あぁ……。わかった。』

「今度会ったときは……
 二人とも幸せになろうね……。」

『……あぁ、約束だ。』

「うん……。」

そして、エリーヌの波動は眠りについた。
優しい光がアレクディアスを包んだ。

『エリーヌ……
 ありがとう……。』

アレクディアスは、その光に
軽く、くちづけをした。

『俺に出来る事……
 それは…。』



そして……全ては終わった。

 

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