第五章

 

「アレクディアス様。」

『戻ったか、エリーヌよ…。』

『…いや、今は愛の神ルフィアだったかな?』

「………。」

『・……で、どうだ?』

『我々か人間か……。』

『どちらが地上にとって
 かりそめの客なのか……。』

『デュアルブレードの審判はどうだった?』

「…………。」

一度、手に握っているデュアルブレードを見る。

また、あの思いが込み上げてくる。

 

『どうした。なぜ答えない?』

「……私達神には未来が見えます。」

「が、私達神が与えられるものはきっかけだけです。」

「あのマキシムも、私が旅に出るキッカケを与えただけに過ぎません。」

「その後の生き方は彼が自分の力で切り開いたのです。」

「自らの未来を切り開く力が人間にあるかどうか…。」

「その答えならば、あります。と私は答えます。」

『……それは、お前の答えであろう。』

「……。」

『我はデュアルブレードの答えを聞いているのだ。』

「……マキシムの血を引くものがいなくても、
 デュアルブレードがなくても、神に勝てました!」

「それで十分な答えじゃないのですか!?」

『そうかもな……。』

 

「なぜ、我々神に人の運命を決める権利があるのですか!?」

『ならば、なぜお前が生まれた?』

『確かに、人間には自分の運命を
 自分で決める力があるのかもしれない。』

『ディオス達に討ち勝ったのも、その証拠かもしれない。』

『恐怖を司る神など入らない、と。』

『ならば、愛はどうなのだ?』

『愛を司る神はいらない……
 ようは、愛も自分たちで生み出せるものだとしたら
 なぜ、お前が愛の神として存在する?』

『愛の力一つを見れば、人間たちには
 まだ、自分の中で愛を生み出す事は
 できないと言う事ではないのか?』

『マキシムも、その子孫もたった一人の
 女性を救えなかった。』

『そして、シオンも……。』

「わ、私はエリーヌと生きていた長い時間より、
 ルフィアとして生きた短い時間のほうがずっと、ずっと楽しかった・・・!」

「今はルフィアとしての意識が強いけど、
 セシルも、ナキも、後悔なんてしていなかった。」

「ただ、あなたの言いなりになっていた
 エリーヌとアイリスは違った……。」

「あなたに束縛された自分の感情を出せないで
 生きていた・……。」

「私はルフィアやセシルとして生まれた事を
 一度も後悔した事は無かった!」

「一緒に喜んだり、傷付けたり……。」

「すべてが思い出よ!」

「私が悲しんだら、私を好きでいた人が悲しむ……。」

「私はそんな思いをさせたくない!」

「もう……人間達を無意味に
 苦しめるのは辞めてください・・・・。」

 

『我々神の立場を分かっていないな……。』

『地上を作るために、我々神がいるのだ。』

『神として生まれたからには、
 それなりの運命、宿命を背負って生きているのだ。』

『それは人間も同じだがな……。』

『そして、人間たちにその力が自ら生み出すことができた時
 我々の役目は終わる。』

『恐怖、破壊、混乱、殺戮……それぞれを司る神を

 地上に送り、人間たちを試した。』

『そして、人間の力でその存在を否定できた。』

 

「なぜ、邪神ばかり地上に送ったの?」

『恐怖、破壊、混乱、殺戮などのことがなければ、

 普段の幸せなど気付かないではないか。』

『実際、人間たちが言う虚空島戦没の
 数年後には、その悲劇さや、英雄の存在も伝説とし
 挙句の果てには忘れさり、平和になれ、
 神やマキシムへの崇拝を忘れ、生きていたではないか。』

『今の人間は、失って始めてその大切さに気付く…。』

『そして、その恐怖などは、自分の中で生まれる。
 そのことをこの戦いで証明できた。』

『が……。』

『お前がそういう感情、思いを持つとは予想外だったな。』

『マキシムの血を引くものの波動を超え、
 自分の思いを貫き通す波動を、よもやお前が生み出すとはな……。』

『デュアルブレードの影響か?』

『が、なんにしても、神が神から自立しても仕方があるまい。』

『個人的感情を持った神が審判を見届けるのでは
 真のデュアルブレードの審判がどちらか分からない。』

『今は、お前の波動によってデュアルブレードが
 お前の力のもとで共鳴しているようだ。』

『40…いや、50%近く支配しているようだな。』

「………?どういうこと?」

『すばらしい力だ…。そして恐ろしい。
 その共鳴はマキシムやシオンを超えるものだぞ。』

「他に誰の力が共鳴しているって言うのよ!」

『デュアルブレードがの審判があてにならない限り、
 我が直にデュアルブレードの審判を見届けなくてはならんな……。』

ま、待って!あなたを行かせないわ!」

「今、あなたが地上に降り立てば、
 罪の無い人たちを殺すつもりでしょう!?」

『それは、デュアルブレードの審判による。』

『その結果次第では無意味に生きる人間を消すだけだ。』

「無意味に生きる人間なんていない!
 そんなことは許さない!」

『抵抗するのか?』

「抵抗……?
 いつ、私があなたより格下になったのかしら?」

『私の下にいる神らしくない発言だな……。』

『人間でいる時間が少々長かったか……?』

『…………試してみるか?』

「---!」

アレクディアスの波動が膨れ上がる。

 

「この波動……。あなたは!?」

ルフィアは、その波動の異質さに気付いていた。

 

『さぁ……。神としての始めての仕事だ。』

『この波動を意味するもの……。
 そして、真のお前のするべきことを教えてやろう。』

「………。」

 

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