第三章

 

「なんで、俺に共鳴するんだ!?」

デュアルブレードは明らかにシオンに共鳴していた。

マーティスが言うには、たしかマキシムの子孫はセシルのはず…。

なのに、なんで俺なんかとデュアルブレードが共鳴を起こす!?

 

伝説では、100年前デュアルブレードが共鳴を起こしたのは

マキシムの子孫であった。

デュアルブレードは、セシルにも共鳴した。

俺も、セシルもマキシムの精神波動を受け継いだとでも言うのか?

それとも、マキシムと似た波動では無く、

別の何かに共鳴したとでもいうのか?

 

「…………。」

シオンは静かに共鳴するデュアルブレードを握り締めた。

波動が体を貫くようだ…。

さすがは波動を増幅させる剣というわけか。

…が、今は何の波動を増幅しているんだろう?

殺意?これは違う。俺は目の前の敵と戦う意志は無い。

敵…?そもそも敵じゃない。今まで一緒に戦ってきた仲間のはずだ…!

 

(違うはずなのに…。なぜ俺はこの剣を手にした?)

 

わからない…。何も分からない……。

―――始めて触るその剣は、なぜか、懐かしい感じがした。

 

ナキと、セシル。

二人の存在を否定して生まれたエリーヌ。

 

シオンはそのエリーヌの存在を否定した。

「・・・セシルも、ナキさんも、自分が自分であるために

 必死に生きてきた。努力してきた。戦ってきたんだ。

 その生き方を否定したお前を許すことは出来ない。」

 

それに対するエリーヌは

『私を倒すために、愛する女性をも殺すと言うのか?

 一つの目標のために、他の大事なものを捨てると言うのか?。』

 

「・・・・・・・・。」

しばしの沈黙。―――後。

 

「犠牲を作らないで生きる方法があったら教えて欲しいものだな。」

すでにシオンの思想は昔と変わっていた。

 

『…………。』

一瞬、エリーヌの瞳に寂しさが現れたのは気のせいだろうか?

『そうか・・・ならば剣をかまえなさい・・・。

 四狂神があなたの敵であるように

 マキシムの血をひく者は、私の敵なのよ・・・』

 

「………。」

不思議と、次の行動もさほど抵抗せずに行えた。

俺は・・・セシルに剣を向けた。

 

(なぜ・・・俺は、こんなことをしている?)

 

『アレクディアス様・・・これで・・・よろしいのですね?』

 

エリーヌは倒した。

三度、デュアルブレードにより殺戮の神を消し去った。

そして…その剣は、共鳴した者の愛する人を、再び殺してしまった。

虚空島での悲劇の別れも、これで最後だった。

 

エリーヌはいない。

これでディオス達を倒せば全ては終わる。

 

「全ては終わったんだ…。」

 

セシルとの出会いから始まって

セシルとの別れでこの旅も終わりを迎えた。 

 

そして――― 英雄が消えた。

 

〜第一部 完〜

 

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