第二章

 

シオンはセシルを止める事が出来なかったことに怒りを感じる。

そして、自分の無力さとオルクス・カーディナルの行為に。

―――その怒りはやがて自己嫌悪となり、シオンの波動が弱まっていく。

 

オルクス・カーディナルからセシルを取り戻すために

再び仲間を求める。

が、現実は辛いものだった。

 

アルバートはシオンの弱さを見捨て、ミシェルはそのアルバートについていってしまった。

2人の戦線離脱。そしてセシルもいない。シオンの波動もすでに一般人並となっていた。

そのシオン、リリー、ユウ、の三人でオルクス・カーディナルに挑まねばならなかった

そんなシオンパーティーの前に現れたのは、青白き髪の少女、ナキだった。

 

ナキの波動は皆の波動を高める力を持っていた。

が、シオンの波動は高まらない。

”セシルを守れなかった”

その思いだけがシオンの波動を束縛していたのだ。

 

人間は、自分で変わるしかない。

―――シオンがそのことに気づくのはもう少し後の事であった。

 

一方―――

セシルは自らの意思でオルクス・カーディナルにきた。

シオンはセシルがマーティスに洗脳されたと誤解したが、実は違う。

生きる為に必要な力…それが今のセシルには必要だった。

薄々気づいてきた自分の存在の意味と役割を。

・・・そしてもう一人の自分の過去を・・・。

 

ただ、今は生きたかった。

「生きる為に戦う・・・ただそれだけよ。」

セシルはデュアルブレードを握り締めた。

 

「…あなたは何で、あたしに共鳴するの?

 あなたがいなければ楽になれたのにね。」

 

なぜ伝説の剣がオルクス・カーディナルにあるのか?

 

―――自己嫌悪からようやく立ち直った。シオン。

しかし前ほどの波動は戻ってこなかった。

ナキの助言により、伝説の”レグナスソード”を探すと言う同じ目的で 

とりあえず、アルバートたちと再び合流。

レグナスソードもまた、波動に共鳴し、その精神波動を増幅する力があるのだという。

 

レグナスソードはシオンにもアルバートにも共鳴しなかった。

共鳴したのはナキだった。

増幅されたナキの波動はシオンらにオルクス・カーディナルと

対抗できる力を与える。

 

一体、何故、ナキの波動はレグナスソードと共鳴したのか?

そもそも、何故レグナスソードが共鳴を起こす剣なのか?

 

―――その答えもわからぬまま、二つの組織が対立する。

 

オルクス・カーディナル内部に潜入したシオンパーティ。

マーティス 対 シオンパーティ。

 

―――マーティスに勝利。

が、世界の混乱はおさまらなかった。

 

マーティスの残留波動がセシルとナキの体を包む。

 

―――100年前

一人の少年がルフィアと言う、かりそめの姿のエリーヌを

デュアルブレードで切り裂いた。

エリーヌはその剣により二つの精神体に分裂した。

一つは人間の心を持った”ルフィア”。その”ルフィア”は

後に少年と再会する。そして、有限の時間を過ごした後、

姿を消す。

もう一つはエリーヌの心・・・殺戮を司る持つ精神体として

今まで形となっていなかった。

 

―――そして、今。

人間の心を持った精神体はセシルへ。

神の力を持った精神体はナキへと受け継がれた。

そして、”思い出”は2人に・・・。

彼女らは、精神体ではない。元々人間なのだ。

純粋な人間の体にエリーヌの精神体が付加されたのだ。

 

他人の波動が自分の精神に負荷を与え、

また、それに負けまいと波動が強くなる場合がある。

2人は、日々大きくなっていくエリーヌの精神に耐え、

その精神に負けない気持ちが今の力を手に入れてきたのだ。

マキシムに剣を向けられた過去、ルフィアとして生きた過去、

そして別れ。

さまざまな悲壮な過去、”思い出”が無関係なセシルたちを侵していたのだ。

 

・・・が

その2人が出会い、精神体が共鳴・・・。

さらにデュアルブレードの特殊な波動、

マーティスの残留波動により

二つの精神体が再び一つになろうとしていた。

 

そう・・・

マーティスの死がエリーヌ復活の最期のカギであった。

 

なぜ、あらかじめ仕組まれていたように事が進むのだろうか・・・?

なぜ、シオンの行動を否定するかのように事が進むのだろうか・・・?

 

エリーヌの復活。

 

それは同時に、ディオス、アモン、ガデスの復活も意味していた。

 

そして、三度悪夢の島は、虚空に浮かぶ。

 

シオンが探していたものはこの島だった。

しかし、見つけたから何だというのだ?

何も得たものは無い。いや失っただけではないのか?

(なぜ・・・俺は、この島を探していたんだ?)

 

世界は破滅へ向かって動き始めた。

恐怖、混乱、破壊、そして殺戮。それぞれを司る神が

人間たちに向かい力を解放してきたのだ。

もはや、ファイヤーストームから人々を救った善政の

面影すらも無い。

 

その時、デュアルブレードがシオンに共鳴した。

 

シオンに、戦う意志など無い。

まして、デュアルブレードを手に入れる意志も無い。

ただ、”セシル、ナキを救う…。”

その思いだけだった。

 

そう思うほど、デュアルブレードの共鳴は大きくなる。

まるで、100年前の第二次虚空島戦没と同じであった。

 

シオンは一つの責任を負う事になる。

 

「俺が・・・エリーヌを殺さなければならないのか?」

 

―――エリーヌは他の神を再生する力を持っている。

よって、最終的に、エリーヌを倒さねばこの戦いに終わりは無いと言うことだ。

しかし、エリーヌを殺す・・・それはセシル、ナキ・・・。

二人の死を意味していた。

 

―――それが、デュアルブレードに選ばれた者の宿命だった。

 

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