鎌倉書房 1983.4.7発行
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独楽筋菊花文 蓋付珍味入(掲載:16ページ)
- 【初期の灰釉】
- 北海道・新十津川町の土は3種類あります。黄土、白土、黒土です。
- 黒土は亜炭層の粘土で、ふにゃふにゃした、耐火度もあまり高くない土でしたが、鉄分が比較的少ないことと縮みが少ないため時々使いました。この珍味入は黒土を使っています。
まるい器に同心円状の模様を入れたものを独楽(こま)文といいます。独楽文は色絵で使われることが多いようですが、この器では形を削り出したあと筋状に掘り込んでいます。- 釉は黒土とりんご灰を混ぜたもので初期の灰釉です。
灰釉は流れやすく、蓋が開かなくなることもありますので、筋のところで釉を止めているわけです。
蓋の中央部分には菊花文を入れました。この頃は蹴ロクロを使っていたため、蓋のあわせるため寸法を正確に作る必要があり、苦心しました。
(2001.8)
お料理 芹と白滝の胡麻和え
土灰釉 刻文楕円皿(掲載:24ページ)
- 【土灰釉】
- 北海道・新十津川町の黄土を使っていますが、この土は、水簸(すいひ)した細かい土と残った砂を再び一定の割合で混ぜ、砂けの多い土(砂胎)にしています。菊練りしてたたらを作り、折り曲げたピアノ線でスライスして筋をつけました。この色と肌合いは器の素材として親しまれているようで、私の窯ではこの時にはじまり、今日も、籾(もみ)灰釉として制作しております。
(2001.8)
お料理 筍と豚肉の木の芽味噌焼き
- 【変わらない愛着】
- 技法については志野の土をご覧ください。
- この年、妹の結婚が決まり、その為に十種十客の器を作りました。
この器は来客用の湯呑として作り、自宅では今も数点使っています。- 陶磁器が素晴らしいところは、このように年月を経ても変わらず在るということです。作った私自身は随分変わりましたが、私の作った器は変わりません。割れることもなく、そばにいてくれたかと思うと愛着を覚えずにはいられません。
- 一般に志野、萩は漿胎(しょうたい)といえると思います。漿はにじむ、胎は土のことです。土が粗めで、焼き締まりが弱いため、水がにじむような陶器の事です。
そのような土も適度な粒度と焼き方をえると汚れたりにじんだりしなくなります。
この器は幸いにうまく作れたようです。
(2001.8)
お料理 肉と香菜の胡麻まぶし
- 【青磁】
- 青磁の土は旭川の土からはじまり、北海道・新十津川町の中細土、そして水簸(すいひ)した細土へと進みました。
釉はりんごの灰と長石、新十津川町で取れた火山灰を用いました。火山灰は長石よりも熔けやすく、耐火度の低い新十津川の土には釉の熔点を調節するため必要でした。- 青磁は貫入(かんにゅう)という釉の割れが見所になります。窯から出したあと貫入に着色剤を染み込ませたのがこの平向です。
この頃、青磁に随分力をいれて試験と制作を繰り返しました。結局、芽は出なかったのですが、技術的には成長し、その後の基礎をつくってくれました。
(2001.8)
1983 春 お料理 鱚の白子焼き